2010/03/15

Social Media Policy Tool

ソーシャルメディアに関する企業ポリシーを簡単に作成してくれるツールがある。

これはrtractionというWeb制作、ソーシャルメディア&SEOなどのマーケティングもやっているところが、インターネット・ハイテクに強い弁護士と協力して作ったものだ。

まず企業名を入力し、企業内で全員あるいは特定社員だけがソーシャルメディアに参加できるのか、その際誰の許可を得るのか、ソーシャルメディア参加を支援する社内組織の有無、発言は企業を代表するものではないことを明記する義務など12項目に応えていくだけで社内ガイドライン、ソーシャルメディアポリシーが作成できる。
前文には、ソーシャルメディアの定義、ソーシャルメディアにおける行動はこのポリシーの規定に則ったものであること、参加の事前承諾を得ることなどが明記され、各章に落としている。例えば、機密保持、個人情報保護、著作権保護、オーディエンスおよび自社、社員の尊厳順守、トラブル対応、予想されうる結果を考えた上での投稿、断り書きを入れること、業務優先でのソーシャルメディア参加であること、そして、ポリシーに違反した場合は懲戒、解雇もあり得ることを明記している。

どこから見ても十分な内容になっている。

Source:rtraction
Source:Social Media Policy tool

こんなに簡単にできてしまうソーシャルメディアポリシーなど使い物にならないと考える向きもあるだろう。数万人を超えるわが社、そしてその社員がソーシャルメディアを使う際のガイドライン、ポリシーとするなら社内委員会を立ち上げ、外部の識者を招き、多くの国内・海外事例を基に...といったフローが必要だと考える向きもあるだろう。そして、ようやく出来上がった社内ポリシーをもとに、社員がソーシャルメディアを使い始めるには1年から2年、あるいは3年かかるのが普通なのかもしれない。

しかし、社内手続きをはしょるわけにはいかないが、もう時間はあまり残されていない。

2007年、Fordのソーシャルメディア対応は、YouTubeのみ。それも公式なチャネルではなく一部有志(?)が立ち上げたものだった。その時点でFordは最も遅れたグローバルブランドのひとつだった。しかし、それから3年がたった今年、FordはPR Weekの「Best Use of Social/Digital Media」を受賞した。それも世界中のマスメディアが報道したオーストラリア、クィーンズランド州の「Best Job in the world」を押しのけての受賞だ。

Source:PR Week / Awards finalists 2010

2007年であれば、まだまだソーシャルメディアの成功事例も少なく、時間をかけて立派なポリシーを策定し、社員教育をすることもできた。しかし、2010年の今年、ケーススタディは掃いて捨てるほどあり、企業規模の大小に関らず猫も杓子もソーシャルメディアと騒いでいる。その流れに乗って、このツールさえあれば基本的なガイドライン、ポリシーとして使うことが可能な世界中で数十万以上の企業、その数千万人の社員がソーシャルメディア化してくる。

広告やマスマーケティングからピアリレーションズ、コネクション、ネットワークへといったパラダイムシフトが進行する中、広告やマーケティングのみをソーシャルメディア化させても効果は薄くなるばかりだ。企業そのもの、企業を構成する社員そのものがソーシャルメディア化しなければ取り残される。

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