2009/08/31

Online Monitoring

Mashableに「5 Social Media Lessons Learned From Whole Foods」というエントリがある。

Source:Mashable / 5 Social Media Lessons Learned From Whole Foods

Whole Foodsは、Twitterに1,252,081人のフォロワーと、
Facebookに124,922人のファンをもっている。
Whole FoodsはTwitter、Facebookに加え、Flickr、Blog、YouTube、そしてGet Satisfactionも使っている。

特にTwitterでの活動が盛んだ。本社からオーガニックフードに関して発信するアカウント、ワインやチーズ、レシピーなどのトピックを発信するアカウント、エリアごとのアカウントに加えて、ローカルのTwitterアカウントなど合計150以上のアカウントを持っている。

このようにコンテンツのターゲット、地域、トピックなどに合わせた最適化がMashableが書いているポイントのひとつだ。また、顧客がいる、参加しているスペースに参加しろというのが二つ目。トップダウンではなくコンテンツ発信担当者に権限を移譲すること。目的に沿ったチャネル活用、最後に「会話を促進する」ことが上げられている。

特に、Whole FoodsのCEO、John MackeyがWSJに寄稿した「The Whole Foods Alternative to ObamaCare」が大きな注目を集め、肯定、否定のコメントが行き交った時に彼のBlogへのコメントを中止させることなく、3,000以上のフィードバックを集めたことが紹介されている。

Source:WSJ.com / The Whole Foods Alternative to ObamaCare

ま、これは彼が「Whole Foods boss rumbled for anonymous postings」から少なからず学んだことを示しているし、より、一層、WOMのパワーを自覚したからだろう。

参考:Whole Foods boss rumbled for anonymous postings (Online Ad 2007/07/20)

それはさておき、Mashableが最後にWhole Foodsの担当者二人、Bill Tolay (統合メディアシニアコーディネーター)と、Winnie Hsia (Twitterの@wholefoodsアカウント責任者)から引き出したのは、
ソーシャルメディアスペース参加にあたり、顧客(あるいはエンゲージしようとする潜在的な顧客)がソーシャルメディアスペースにいるのかを確認すること。
というアドバイスだ。

そして、このアドバイスに付け加えるべきは、
  • まず、ソーシャルメディアスペースでユーザがブランドに対して、何を語っているかをモニタリングすることだ。
  • モニタリングの結果をもとに、ソーシャルメディアスペースの理解を促進し、
  • 必要となる人員、組織、予算を確保した上で、
  • どのスペースにどのような体制で参加するのか、
  • また、継続的なモニタリングを社内で行うのか、アウトソースするのか
などを判断すべきだ。

決してブランドに関して悪いことばかり語られているわけではないが、良いことばかり語られているわけではない。だが、悪い噂には耳を塞ぎ、お追従ばかりに耳を向けているのではフィードバックにはならない。ユーザとの会話も作りだすことはできない。

オンラインバズやリンクをモニターしていなければ当然、ソーシャルメディアスペースで村八分になっていようと、匿名ユーザがFacebookでブランド名のページを立ち上げ、数千、数万のファンを集めていようと分からない。そのページを悪用して個人情報を搾取しようとしていても分からない。どこそこのブランドページに行くと個人情報を不正に入手されたという悪評バズが起こっても、その意味や影響さえ理解することができない。

そんなリスクさえ潜んでいるのだが、モニタリングしている企業はまだまだ少ない。

そんな企業向けに、すでにオンライン広告を提案する前、あるいは並行してオンラインモニタリングを提案している代理店には、Universal McCannやRazorfishなど多くの代理店がいる。

しかし、日本企業本社にグローバルなバズモニタリングを提案している代理店はいるのかしら?

2009/08/28

Susan Boyle Debut Album : Online WOM

8月27日の朝、筆者のFacebookにSusan Boyleからのアップデートがあった。「デビューアルバムの予約受付がPlay.comでできます」というアナウンスだ。

Susanのページにアナウンスがあってから9時間で4,729人が「like(お気に入り:日本語UIでは『いいね』)」とし、すでに409人がコメントを寄せている。
アルバムの申し込みをしたい方は下からどうぞ。
(クリックでPlay.comへ)
一時期の熱狂的なフィーバーからすると毎日数千人のファンが離れていたが、Susan BoyleのFacebookページには現在でも186万人のファンがついている。(8月27日時点)

今回のアナウンスでFacebookユーザ、彼女のFacebookファンの間のみならず、BlogやTwitterで発生するオンラインクチコミは世界中を巡るだろう。

筆者もTwitterで2つほどコメントしておいた。
その後、Twitterでの「Susan Boyle」に関するつぶやきはどうなっているかと検索してみた。驚いたことに、最初のTweetから1分後に、DreamerTweetsがRTしている。そして、その39分後には、citytravelbugがvia DreamerTweetsということでまたRTしていた。
DreamerTweetsには143人のフォロワーがいる。そのフォロワーの中には2,026人のフォロワーを持つtshirthellcindyや、787人のフォロワーを持 つmandysrandyなどがいる。また、パリ在住のcitytravelbugには1,457人のフォロワーがいる。そのフォロワーの中には1,211人のフォロワーを持つsnookerstや、4,017人のフォロワーがいるAdrianEdenなどがいる。

DreamerTweetsやcitytravelbugがRTしたことで、彼らのフォロワーに筆者のコメントがそのまま表示されてゆく。リンクを クリックすることでFacebookのSusan Boyleのページが筆者のフォロワー、彼らのフォロワーへ露出されてゆく。

一面識もないDramrollから発信されたつぶやきが、DreamerTweetsやcitytravelbugへ伝わり、彼らがRTしたことで、彼らのフォロワーにも伝わってゆく。これが「Social Media Revolution」の中で語られている「Word of MouthからWorld of Mouth」への進化だ。対面WOMからオンラインWOMへの進化だ。

参考:Socila Media Revolution (Online Ad 2009/08/19)

Facebook、Twitter、Blogなどのソーシャルメディアスペースで世界のインターネットユーザは幾重にもクロスし、メッシュしながらコネクションがつながっている。オンラインWOMが急拡大していくことは自明の理だ。

そう考えるとWOM=Word of MouthやWorld of Mouthではなく、Web of Mouthといったほうが正しいのかもしれない。

そしてのこのWOMは世界中で発生している。PCからのTwitterトラフィックだけでも4,400万人のユニークユーザがいるが、北米からのユーザはその半分でしかない。残りの2,200万人は欧州から1,100万人、アジア・パシフィックから700万人、南米から400万人だ。

これに携帯や他のモバイルデバイスユーザが加わることになる。

Source:Sillicon Alley Insider / Chart of the Day

このオンラインWOMは、マーケティング戦術としても、広報・PR戦術としても使える手段だ。しかし、それにも関らず、日本の企業がグローバルなブランディング戦術として今までに使った例はない。

なんともったいない。

2009/08/27

SimpliFlying Answers to UA Breaks Guitar

Bad Reputation Fly Highで、United航空のブランドイメージを失墜させたDave Carrollの話を紹介した。

参考:Bad Reputation Fly High (Online Ad 2009/07/29)

すると、SimpliFlyingを書いているShashank Nigamが、「業火に包まれたPRに対処する10個のソリューションをUnited航空に提供」するため、詩を書き、友人に書いてもらった曲をビデオ化してYouTubeにアップしている。


Source:SimpliFlying / SimpliFlying releases The Answer in response to "United Breaks Guitar" by Dave Carroll, the de-facto CMO of United Airlines

これがUnited航空に届き、理解してもらえるかは別物だが、United航空以外の航空会社が、もし、同じようなトラブルを抱えてしまったとき、何がベストなソリューションになるだろう。

答えは簡単だ。Dave CarrollのYouTubeビデオにリプライビデオを返すことだ。窓口担当者ではなく、CMOでも、CEOでもいい。直接、オープンで対等なスペースで対話することだ。

すでに2年前、JetBlueは嵐、豪雪による航空機の運行を休止、停止したことにより、乗客に多大な迷惑をかけたトラブルに対して、CEOのDavid Neeleman自身が謝罪し、再発防止策、返金などを説明している。


参考:JetBlue: Our Promise to You (Online Ad 2007/03/08)

2年も前にあったPR、ブランドイメージトラブルを航空会社は学習していない。ただし、学習していないのは何も航空会社に限った話ではない。

2009/08/26

Samsung Dual Camera

Samsungから来たEmailニュースレターは以前に何度か紹介したが、今回のやつはカメラの前と後ろにLCDモニターを装備しているモデルだ。

自分にカメラを向けて撮影する際、とても役に立つ。それこそ二度とない一瞬を記録する際、使えそうだ。
Source:Samsung Email Letter

このように消費者にマスメディアを経由せず(メディアコストなしで)、直接、コンテンツを配信するチャネルをどうしてもっと多くの企業・ブランドが使わないのだろう?

そして、同じようにメディアコストなしのソーシャルメディアスペースは、emailレター以上のアクションが可能で、ブランドコンテンツの供給、共有という点では最適スペースだ。メディアコストなしで、直接、ユーザからのフィードバックを受けることができるコミュニケーションチャネルを無視、軽視しているツケは意外に早く払わされそうだ。

それと、このemailレターをクリックした先のLPのレイアウト、デザインはとても参考になると思う。

2009/08/25

Global Reputation 2009

昨年、Global Reputationというエントリを書いたが、今年もReputation Instituteから2009年版がでている。

昨年は、Toyotaが1位、Googleが2位、Ferreroが3位、J&Jが4位、Tataが5位だった。それからすると今年のトップ5に残ったのは、Ferrero、J&Jの2社しかいない。それぞれ順位を上げて1位、3位にランクされている。
昨年、Governance、Products/Services、Leadership、Innovation、Performanceと企業Reputationを推し量る7つの指標中5つでトップだったToyotaは、今年の指標トップ5のどこにも顔を出していない。
参考:Global Reputation (Online Ad 2008/07/18)
Source:Reputation Institute

それにしても昨年、トップと2位だったToyotaとGoogleはどこに行ったのかというと、Googleは23位でトップ50圏内にとどまっているが、Toyotaは急落して59位にまで落ち込んでいる。

他の日本企業は、Sharpが昨年の16位から41位、Bridgestoneは34位から65位、Canonが35位から193位、AEONが37位からトップ200圏外、Sonyが38位から127位へと大きく後退している。

アップしているのはMatsushitaが28位から15位へ、Hondaが39位から18位へアップしているだけだ。それとNintendoが突然、6位に顔を出している。

日本企業だけではなく他国のグローバル企業のランキングも大きく上下している。これほど劇的な順位の変動があったにも関わらず、Reputation Instituteは無料で入手できるリリースには、その理由、背景、原因を明記していない。ま、有料のレポートを買いなさいということだが、無料レポートの中にヒントがある。

それは、一般消費者は企業が確固たるビジョンを抱えて業界の先頭を走りながら、安定した財務パフォーマンスを達成することを期待しているため、「財務パフォーマンス」と「リーダーシップ」という2つの指標の比重が2008年と比べると2009年には最も伸びたそうだ。昨年のリーマンショック以降、大きく財務パフォーマンスを落とした各社はランキングを下げたということになる。

指標の中では当然、「Products/Service」、「Governance」、そして「Citizenship」に最も重い比重が掛けられているが、それだけでは評価されないということだ。
ところで松下電器が2008年10月1日に、社名をパナソニック株式会社(Panasonic Corporation)に変更してからこの資料が作成された5月までそこそこ時間がたっているが、まだ社名変更が適用されていない。やはり、社名変更というのは長期間にわたる一大事業になると言わざるを得ない。

2009/08/24

Mobile Performance

Dynamic Logicからモバイルのブランディング効果についてデータが出ている。

まず、eMarketerのデータを示し、モバイルブランディングを忘れていませんかと注意を喚起している。
今年のモバイル広告総額は全世界で50億㌦、2011年には3倍になると予想されている。が、その87%がダイレクトレスポンス(DR)に当てられており、ブランディングは13%でしかない。

マーケティングに欠けているところはありませんか?まず、モバイルを全くやらないこと、次にDRにしか使っていないこと。
ということで、米と英で調査されたモバイル広告のブランディング効果を示している。

対象業界は、アルコール、自動車、家電、消費財、エンタメ、金融、小売、通信、旅行で、モバイルキャンペーンを露出した調査対象と、非露出グループを比較すると、モバイル広告はPurchase Funnel (購買行動プロセス)でブランド指標を向上させる効果的なメディアだという結果が出ている。

Source:Dynamic Logic / First Look At Mobile Performance

Dynamic Logicは、
モバイルデバイスを持っている26%しかインターネットにアクセスしていない。しかし、プロバイダが利用を促進するような料金・サービスパッケージを提供し始めるので、WAPを使ったモバイルのブランディングキャンペーンを行い、よりターゲットされたオーディエンスにリーチできる
と書いている。

しかし、本当にこれから考えなければならないのは、モバイルSNSやTwitterだ。例えば、「24時間、最大距離30㌢(寝ている時の携帯との距離)」というメディアである携帯は、オンラインWOMのソースで、Facebook村の井戸端拡声器でもある。ピーチク、パーチクとさえずる口さがない雀の群れが集まる大木にどうやって一緒に雨宿りさせてもらうかという問題だ。

メディアとしての影響度・力だけではなく、その利用スペースを考えれば考えるほどモバイル、携帯をこれからのマーケティング戦略の中心に据えるしかない。

2009/08/21

Hint from NAT GEO

たまには息抜きをということで、数独がお好きな方にNational Geographicからの無料ゲームをどうぞ。
(クリックでダウンロードページへ)
難点はダウンロードしたアプリが全画面表示でしか動いてくれないことだ。それを除けば言うことはない。3つのルートのいずれかを選択し、目的地を目指すことになる。
6x6の簡単なやつから9x9ではなく、8x8のちょっと難しそうなパターンもある。Source:National Geographic

National Geographicが、考えもしないような形で、意図せずにブランドが日本人ユーザに再露出されてゆく。

以前なら友人・知人の間における雑誌の回読くらいでしか、無料でのブランド再露出は起こらなかったわけだが、今なら、一面識もないユーザ間でブランド、コンテンツが無料で共有され、再露出されてゆく。そして、その友人・知人達が自分の個人コネクションに供給することで再露出フローが再生産されてゆく。

この再露出フローと、数独という日本発の世界ブランドを使ってVisit Japanキャンペーンに面白い仕掛けできるかもしれない。

参考:Proposal to Visit Japan -1 (Online Ad 2009/07/28)

2009/08/20

CMO's Guide to Social Media

CMOのためのソーシャルメディアガイドがある。

ソーシャルメディアがマーケティングを変革しており、CMOにはFacebook、Blog、Twitterをやろう、やらないとダメだというプレッシャーがかかっている。

だからまず、「何が起きているかを理解しましょう」と書いて、トレンドを3つ上げている。
  1. パワーシフト
  2. 新しい機会
  3. ソーシャルメディアスペースを使ったブランド構築
そして、CMOが採るべき戦略を3つ上げている。
  1. カスタマーライフサイクル内で意味のあるカスタマーリレーションシップを構築するためにソーシャルメディア戦略を活用する
  2. ブランド、ブランド体験を管理し、そしてブランドをともに創造するためにソーシャルメディア戦略を活用する
  3. ダイナミックなブランドIDを育成するためにソーシャルメディア戦略を活用する
Source:Magus Consulting / A CMO's Guide to Social Media
Source:Marketing20 / A CMO's Guide to Social Media (要ユーザ登録)

欧米企業・ブランドのCMOは、ソーシャルメディアマーケティングを軽視も、無視もできないのが現状だ。しかし、耳から入ってくるバズワードだけではどこから手をつければいいのかさえ分からない。となると、どこかのコンサル会社や、マーケティング会社が主催するセミナー、カンファレンスに参加し、ネットワークを作り、情報を収集することになる。

そういったソースの一つにはなる資料だが、こういった資料は何も欧米企業のCMOだけが必要としているのではないはずなのだが...。

2009/08/19

Social Media Revolution

もうこれは見ていただくしかない。7月30日にYouTubeにアップされ、Viral Video Chartによれば、昨日までで348Blogが取上げている。昨日はViral Video Chartのトップにランクされていた。



Source:YouTube / Social Media Revolution
Source:Viral Video Chart / Social Media Revolution

このビデオを見てもまだ、ソーシャルメディアが納得できない、理解できない、わからないというあなたにかける言葉がない。

Facebookが仮に一つの国だとしたら世界で4番目に人口の多い国となる。そして、その国に国境線はなく、車や飛行機、電車を使わずとも自由に出入国でき、当然、自分の言葉のインタフェースもあるが、少なくとも英語ぐらいできるユーザたちは自分の言語でなくともかまわない。いろんなブランドページのファンになり、お気に入りに登録し、コメントを書き込み、写真やビデオをはり付ける。

自分の友人たちもローカルのSNSだけではなくFacebookにも当然、登録している。だから自分が書き込んだコンテンツは友人たちの輪に表示、露出、共有され、ことによると他ユーザが再露出して別の友人の輪にコンテンツを広げている。そんな国がある。

そして、企業・ブランドは自身がメディアとしてコンテンツを供給し、その国における企業・ブランドのコミュニケーション方法が今後の主流になるような、そんな国があることを信じる気にはなりませんか?

2009/08/18

Twitter Stats

Twitterに関する情報をSysomosがある程度まとめて出している。それを伝えているInfulential Marketing Blogのほうでは、興味深い10の統計データを取上げている。

曰く、
  • 21%のTwitterアカウントは空箱
  • 94%近くのTwitterアカウントは100人以下のフォロワーしかいない
  • 2009年3月、4月がTwitterが爆発した時期
  • 5%のユーザが75%のコンテンツに貢献し、10%のユーザが86%を発信している
  • Twitterユーザの半分はノンアクティブ
  • 火曜日がTwitter日
  • Twitterの大半は英語
などだ。

国別に見ると米、英、加、豪と英語圏が上位を占めている。この4カ国で78.5%を占めているが、ブラジル、独、蘭、仏、印、南アなど非英語圏諸国もトップ10入りしている。ブラジルは2%だ。

Source:Influential Marketing Blog / 10 Stunning (And Useful) Stats About Twitter
Source:Sysomos / An In-depth Look Inside the Twitter World

Influential Marketing Blogで取り上げていない項目に2つほど面白いものがSysomosのサマリに上がっている。
  • 女性53%、男性47%
  • マーケターと自称するユーザの15%は2,000人以上をフォローしている。一方、Twitterユーザ全体の0.29%しか2,000人以上をフォローしているケースはない。
以前、Quantcastで調べたところ、上位20サイト中、男女比が50%ずつのYouTubeを除いても、13サイトは女性比率が50%を超えていた。

参考:7 Tips for Mom Bloggers (Online Ad 2009/04/24)

そしてTwitterでもそうなると、やはり、女性ユーザをターゲットに据えた戦略が求められる。女性のクチコミパワーを軽んじる余裕がない限り、無視することなど絶対できないはずだ。「Bad Reputation Fly High」で紹介したようにYouTubeなどを使った行動は大向こう受けするし、企業も迅速に応ぜざるを得ない。しかし、大きく表に出てこなくても、草の根運動的に女性個人々のコネクションを通して静かに広がる悪評は対処のしようがない。

参考:Bad Reputation Fly High (Online Ad 2009/07/29)

さて、マーケターがダンボのように耳を広げて、人々のささやきを聞いている。どこまで聞けているかは別な話だが、少なくとも米国のマーケターは聞き耳を立てていることは確かなようだ...。

しかし、上のグラフにあるように囁いているのは英語圏だけではない。非英語圏を含め世界中が毎日ブランドに関する囁きを呟いている。これをモニターしている日本のマーケターはいるのかしら?

2009/08/17

Cash Back for Rainy Holidays

先日、HP Print Intelligentlyで
それに比べるとHPのキャンペーンはエンタープライズ向けなので、HPがユーザ企業のニーズをアセスメントし、コスト削減を予想する。導入後12カ月以内に予想削減枠に到達しない場合、HPがその差額を補償するというものだ。
と書いた。

参考:HP Print Intelligently (Online Ad 2009/08/04)

差額を補償するというのはあまりないキャンペーンだと思っていたが、不況、新型インフルエンザで青息吐息の旅行業界、航空会社でも聞いたことのないキャンペーンを開始したようだ。
Photo: DPA
8月5日、Lufthansaが「Sunshine Insurance」を発表した。

これはドイツ国内からバルセロナ、イスタンブール、マドリッド、ローマ、ドバイ、カイロ、ニューヨーク、テルアビブ、ワシントンなど世界36か所へのルートに適用され、5㍉以上の降水が確認された目的地への乗客(€199以上の航空券購入乗客)に対して、€20のキャッシュバックを行うキャンペーンだ。

6月、Lufthansaの乗客数は前年比2.8%減少した。それを受けて「Climb 2011」と題したプログラムを開始している。€10億のコスト削減、管理部門の20%人員削減、160機の新型機購入の見直しなどだ。

こういった後ろ向きの施策だけではなく、上記のインセンティブキャンペーンも実施している。

Source:The Local / Lufthansa offers rain-weary Germans "sunshine insurance"
Source:bizzia.com / Lufthansa Guarantees You A sunny Vacation

日本でもJATAの旅行取扱状況速報(5月)を見れば状況が深刻なのが明らかだ。
  • 海外旅行の対前年同月比 33.8%減(12カ月連続)
  • 外国人旅行の対前年同月比 17.5%減(9カ月連続)
Source:JATA / 主要旅行業者の旅行取扱状況速報 平成21年5月分

Lufthansaならずとも何らかのインセンティブキャンペーンを仕掛けたいところだ。

だが、カイロやドバイならいざ知らず、6月、7月には406㍉の降水があったニューヨークまで入れざるを得ない状況は、ちょっとぐらいのインセンティブでは埋められそうにない。

直近の売り上げ増を目指すのは当然だろうが、旅のインスピレーションを喚起せずに、値下げや払い戻しで乗客が群れを成すのは難しい。旅行したいと思わせるインスピレーションを育成し、そして、そのインスピレーションをリレーしてくれるクチコミや、個人ネットワークをターゲットとしたインセンティブがベストだと思うが...?

2009/08/14

Chain of Friends and Fans

Inside Facebookに、世界のSNS勢力図が上がっている。各国でトップのSNSだけを示している。

世界をひとまわりしているのはFacebookだが、中国(QQ)、日本(Mixi)、ロシア(V Kontakte)、インド・ブラジル(Orkut)、メキシコ、ポルトガル(Hi5)などではFacebookがトップSNSの位置にたどりつくまで時間がかかりそうだ。

worldmapsocialnets
Source:Inside Facebook / A World Map of Leading Social Networks

ただし、同じプラットフォームでほぼ地球全体をカバーするのはFacebookだけだ。トップになっていない各国でも虎視眈々とトップを狙う位置にいる。

で、このFacebookを使って米国Hondaが面白いキャンペーンをやっている。Hondaを好きな誰かを誰もが一人ぐらいは知っていることを知らしめるためにFacebookで「社会的な実験」に参加しましょうと呼びかけている。
(クリックでサイトへ)
Source:The Inspiration Room / Honda Facebook Fan Page a Social Experiment

ユーザはHondaのページで、自分自身がHondaのファン、あるいはファンの誰かを知っていることを入力する。次に、Hondaが好きな自分の友人をこのページに招待していく。そうすると、この友達の輪、Hondaファンの輪が広がってゆく。米国だけではなく、海外のHondaファンもその輪に入ってくる。

世界中をカバーするFacebookならではのキャンペーンということになる。8月6日のHondaファンは34,972人だった。
ただし、米国Hondaのキャンペーンで友達の輪に連なった海外ユーザをその後、どうしてゆくのだろう。米国Hondaが、英、独、仏、中、印、韓など諸外国のHondaファンに対してプロモーションしてゆくのだろうか?

いやいや、そんなことはない。最初にユーザがファン登録する際、入力するのは米の州名だ。米国Hondaは米国ユーザを相手にしているだけだ。

しかし、今回のキャンペーンでHondaファンの輪に連なった諸外国のFacebookユーザは、今後、米国Hondaのコンテンツが露出されてゆくことになる可能性が高い。それによってFacebookユーザ内にブランドが一層、認知されてゆく。その効果は何も米国ユーザに限った話ではない。

こういった米国以外の世界のユーザに対してHondaファンの輪を継続し、グローバルなブランディングを実施してゆくのなら、それは米国Hondaではなく、本社のテリトリだと思うがいかがだろうか。

2009/08/13

Reason to Re-Visit

Small Business Trendsが、Webサイトに関して犯しやすい4つのエラーを書いている。

サイトの名前通りに中小企業向けのトレンドを発信しているサイト、Small Business Trendsが上げたのは以下の4つ。
  1. Bad Design = No Credibility
  2. Your Conversion Funnels is Too Long
  3. There's No Method Behind The Madness
  4. There's No Reason To Re-Visit
Source:SmallBusinessTrends / 4 Common Site Errors

Small Business Trendsは4番目の「Webサイト再訪理由がない」に関して、
ほとんど全てのSMB(Small to Medium Business:中小企業)のWebサイトが抱える致命的なエラーは、ユーザが再訪する理由がないことだ。Emailアドレス、電話番号は明記してある。それでいい。Webサイトが提供するすべてはそれだからとSMBは考えている
と書いている。

SMBにしてみればemailや電話番号だけしかないというのは大げさにしても、それらに加えて、取り扱う製品・サービスのページもあり、digg、del.icio.us、myspace、facebookなどソーシャルメディア用ツールも装備しているはずだ。しかし、コンテンツがスタティックなままで何カ月もたなざらしではTwitterするトリガーにも、emailや電話で新製品を問い合わせるトリガーにもならない。第一、ソーシャルメディアスペースの住人の口の端に上るようなトピックスがないのでは話にならない。

「再訪する理由のないWebサイト」とは、別にSMBに限った話ではない。グローバル企業・ブランドのWebサイトにも同じように見られるものだ。トップページでJavaやFlashを使い、主力製品を代わる代わる自動で切り替えながら取り上げてはいるが、どこにユーザが再訪する理由や再訪を促進するツールが仕掛けてあるのだろう?

FAQ、メルマガ、登録、お問い合わせ、カタログ請求など必要なパーツはそろっているようだが、再訪する理由にはならない。相応の予算をかけてWebサイトを構築しているわけだが、一度、アクセスしてくれれば全ての情報を取得し、情報・コンテンツを消費してくれると期待できるだろうか?

Webサイトにアクセスするユーザはその時点時点で、必要とする情報・コンテンツは違う。購入前提のユーザもいれば、他社製品と比較しようというユーザもいる。そういったユーザが消費するコンテンツはWebが供給するコンテンツの一部でしかない。単純にどんな製品ラインアップがあるのかチェックしに来たユーザが、機能、仕様、保守、サービスを確認するステージに入った時にもWebサイトを再訪してもらわなければならないはずだ。

そのために、再訪を促す仕組み、ツール、仕掛けが必要となる。流行りの技術を使い、カタログを見栄え良く広げるだけのWebサイトではいつまで経ってもWeb 1.0のままでしかない。

2009/08/12

Proposal to Visit Japan -2

「Proposal to Visit Japan -1」で、
Visit Japanも、キャンペーンとして個人的コネクション、ソーシャルメディアスペースでのコネクションを拡大し、クチコミしてくれるサポーター、アドボケーターを増やすべきだと思うが、いかがだろうか?
と書いた。

そして、Visit Britainが2008年に実施した各国市場調査によれば、
「観光地を決定する際、頼りになる情報ソース」、「旅行前に旅程を決めるために利用した情報ソース」のどちらも、「友人あるいは知人からの情報=クチコミ」がトップになっている。
と書いた。

参考:Proposal to Visit Japan -1 (Online Ad 2009/07/28)

では、そのクチコミを増殖してくれるソーシャルメディアスペースについてもう少し詳しく見てみる。

Universal McCannが実施し、今回で4回目を迎えたWave 4がちょうどリリースされている。それによると、まずWave4を実施した38カ国のインターネット普及率はノルウェーの86%からインドの7.1%までばらついているが、「毎日、あるいは1日おきでインターネットにアクセスするアクティブな16~54歳までのオーディエンス」を全世界合計で6億2500万人と推定している。

2010年に1000万人の訪日を目指すVisit Japan Yearの重点12市場のうち、韓国、中国、米国、英国、ドイツにおけるBlogやSNSなどのソーシャルメディアスペースへの関与を見る。

Source:WARC / Email News
Source:Emoderation / Universal McCann Publish Wave 4
Source:Emoderation / Wave 4

いずれの国でもBlog読者数、Blogライター数、SNSプロファイル保持数、プロファイル管理数、友人のSNSプロファイル訪問数、オンラインビデオ視聴者数がWave1から4にかけて増加している。おおよそ3分の2がソーシャルメディアスペースに参加、関与し、コンテンツの消費、共有、再露出フローの一翼を担っていることになる。

特に中国ではBlog読者数が90%、オンラインビデオ視聴者数が89%と群を抜いている。それに続くのは韓国で、それぞれ88%、83%だ。また、ビデオ視聴者数で見ると、米83%、英79%、独74%と、それぞれの国で最も関与比率が高くなっている。

オンラインビデオはKuroshio Seaを引合いに出すまでもなく、最高のコンテンツとしてそのインパクトと、波及効果は計り知れない。その露出から様々な誘致活動を実施する可能性が開けてくる。


このようにソーシャルメディアスペースに首までどっぷりと浸かっている各国の潜在訪日観光客に対して、新聞・雑誌広告、旅行業界経由の露出や、専用Webからの情報発信だけで訴求するだろうか?ソーシャルメディアスペースで行われているコンテンツの消費、共有、再露出というフローに載せることができるだろうか?
Source:観光庁 / Visit Japan Year 概要 (pdf)

上期を終えての訪日外客数は前年比28.6%減の309万人だ。4月までは25%減の218万人だったので悪化してきた。
Source:日本政府観光局(JNTO) / 2009年訪日外客(総数) (pdf)

一方的な情報提供だけでは、発信したコンテンツを消費し、共有し、再露出のフローに載せてはくれない。各国のアクティブなインターネットユーザに訴求し、クチコミからコンテンツの流通フローに載せてもらうためにはどうしてもソーシャルメディアスペースへの参加が大前提となっているのだが...?

2009/08/11

Cathay Pacific Face to Face

SimpliFlyingが、Cathay Pacificの新しいマイクロサイトを紹介している。

FA(Flight Attendant)はもちろん、カーゴ担当、カスタマーサービス、予約&発券、営業支援、広報、パイロットなど何らかの形で乗客と交わるほとんど全ての部署から選抜されたCathayの人たちが、自分を語っている。生い立ちから始まり、仕事内容、乗客とのつながりなどを自分の言葉で語っている。どの部署の人も誇りを持って仕事をしているのが伝わってくる。

なお、サイト公開後、Cathay Pacificの他の社員が今度は、是非、私が、俺がと希望が殺到しているようだ。

(クリックでサイトへ)
(下は画像のみ)
Source:SimpliFlying / Cathay Pacific reveals the faces behind the brand, in an interactive way

それぞれの部署の担当者が自分の業務を正確に、迅速にこなしてくれるおかげで乗客は、オンラインや電話予約ができ、チェックインカウンターで座席をアサイ ンされ、手荷物を預け、機内では快適に時間を過ごし、空港で受け取った手荷物を片手にビジネスや観光に出かけることができる。

オーバーブッキング、座席の取り違えや、手荷物の紛失・棄損、横柄な苦情処理さえなければ、航空会社の場合、彼らの対応、業務遂行がブランド価値、評価になる。

しかし、普通なら裏方の仕事や、その仕事を遂行している担当者の顔も声も、どんな人なのかもわからない。それらの人々が裏で支え、価値として表出している企業・ブランドに顔はない。

そこで「顔の見えない」ブランドから、ブランドを構成する社員の「顔が見える」コミュニケーションを開始し、「ブランドの人となり」を知ってもらい、「友人・知人」といったレベルに関係が向上すれば、ブランド価値や評価は突出したものになる。

参考の最後を除き、Virgin Americaといい、Air New Zealandといい、Cathay Pacificといい、マーケティング・バズ系Blogで取り上げられるほど従来の航空会社が実施するマーケティングとは一味も、二味も違うマーケティング、プロモーション、カスタマーサービスを行っている。

参考:Virgin America and Twitter (Online Ad 2009/07/24)
参考:Base Essentials of Safety (Online Ad 2009/07/21)
参考:Airline Branding -2 (Online Ad 2009/05/21)
参考:Airline Branding -1 (Online Ad 2009/02/12)
参考:Twitter for Customer Service and Branding (Online Ad 2009/3/30)

今まで行われたマーケティングはほとんど全ての航空会社が実施しており、まったくと言っていいほど差はない。やれマイレージやポイント制、VIP対応、早割、座席の幅やリクライニング度等、どれをとっても五十歩百歩だ。そして、今までのメディアを使っている限り、できることも五十歩百歩だ。TVや新聞・雑誌、パンフで早割、特割、新型機、新型座席をいくらアピールしても伝えられることは同じで差はない。

今の経済状況でマスメディア露出が十分にできない航空会社が何をすべきなのだろうか?予算も人もない中で何を乗客、顧客に伝えられるのだろうか?

答えはVirgin Americaにもあるし、Air New Zealandにも、Cathay Pacificにもある。そして、P&G、HPやLenovo、White HouseやVisit Londonにもある。

参考:P&G Digital Hack Night (Online Ad 2009/03/25)
参考:HP Social Media Marketing (Online Ad 2008/12/01)
参考:Olympic Marketing : Lenovo (Online Ad 2008/07/10)
参考:White House Web 2.0 -2 (Online Ad 2009/07/02)
参考:Proposal to Visit Japan -1 (Online Ad 2009/07/28)

訂正

上の参考に続けて、
なお、今のところ、CathayがやっていることはWeb 1.0でしかない。マイクロサイトを構築し、そこに社員の顔と声、人となりを届けただけだ。SimpliFlyingが言うように乗客側からのフィードを 受ける仕組みや、Twitterなどソーシャルメディアスペースへの参加などが不足している。しかし、Web 1.o的にコンテンツを露出しただけにもかかわらず、今までどこの航空会社も考え及ばなかったコンテンツを露出した点に価値がある。

2009/08/10

Ads return worst ROI

The Chartered Institute of Marketingの最新調査から、「CRMは最高のROIをたたき出し、広告は最低だ」と、MarketingWeekが伝えている。

公表されているのは;
  • 24%のマーケターは、CRMのROIがベストだと考えている
    特に金融・その他のサービスのマーケターは31%、
    次にIT・通信関連のマーケターは30%
    がCRMがベストだと考えている

  • 2番目に評価が高かったのは12%のマーケターがベストだと考えているPR

  • 広告(オンライン除外)は23%のマーケターが最もROIが低いと考えている
    特にIT・通信関連のマーケターは38%

  • 2番目に評価が低かったのは11%のマーケターがROIが低いと考えているスポンサーシップ
Source:MarketingWeek / Ads deliver worst ROI
Source:The Chartered Institute of Marketing / News

この調査は4月に1,223人のマーケターを対象にIpsos Moriに委託して行われている。

オンライン広告が除外されている広告は効果が可視化できないから不評だ。ただし、今のオンライン広告も従来からのレガシー広告と何ら変わることはない。impressionだとか、CTRやVTRだと言ったところでやっていることは同じだ。

一方通行のマスに対する押しつけコミュニケーションと、CRMを比較するとCRMに軍配を上げるマーケターが多い。しかし、CRMもマスマーケティングという同じ土俵で、コミュニケーション手法をマスから個に変えただけだ。

今、Web 2.0やソーシャルメディアが注目を集めているのは、企業・ブランドのコミュニケーションチャネルや露出コンテンツを凌駕する勢いで、ユーザ自身が発信するコンテンツ量、ユーザ間で共有されるコンテンツ量が伸びているからだ。また、ソーシャルメディアスペースで語られるブランド量が、ブランド自身が供給する量よりも多いからだ。そのため、ブランドをコントロールしているのはブランドではなく、個々のユーザ、顧客、消費者に変わってきたからだ。

このことはもう2年も、3年も前に、P&GのCEOやCMOが口にしている。

参考:Letting Consumers Control Marketing: Priceless (Online Ad 2006/10/17)
参考:Mindset Shift Required (Online Ad 2007/03/07)

マスメディアを活用して、ブランドが聞かせたいことをブランドの言葉で語ってきた時代から、顧客、消費者、ユーザが存在するソーシャルメディアスペースに参加し、彼らの言葉、彼らの流儀で会話に参加する必要性を見ている企業・ブランドがいる。

当然、そんなことに目もくれない企業・ブランドもあり、昔通りのマーケティングをそのまま踏襲している。しかし、その必要性を見ている企業・ブランドは、様々な機会を捉えて新しいマインドセットにシフトするべく検証を行っている。

参考:Digital Hack Night (Online Ad 2009/03/25)
参考:HP - Social Media Marketing (Online Ad 2008/12/01)

それはマスマーケティングからCRMへの推移を超えて、ソーシャルメディアマーケティング・ブランディングを見ているからだ。消費者が消費する、接する、共有する情報・コンテンツはブランドがコントロールできないレベルまで増加しているからだ。

また、顧客、消費者、ユーザが例えば、Facebook、Twitter、Blog、Forum、SMSなどで語ったコンテンツが何百万㌦もかけて構築してきたブランド価値をいともたやすく破壊するのを見れば見るほど急がなければならないからだ。

参考:Bad Reputation Fly High (Online Ad 2009/07/29)

下図のように「Push」だけではなく「Pull」も実施しなければならい。「Interrupt Message」だけではなく、「Publish Content」し、企業・ブランドは「Become Media(メディアとならなければならない)」。当然、社外のソーシャルメディアスペースにも参加し、自社独自のSNSに顧客を招待する形も必要だ。

それには組織を改革してゆかなければならない。一部の欧米企業では、ソーシャルメディア、あるいはソーシャルマーケティング担当部署があり、VPなどもいる。が、日本のグローバル企業でマインドセットをシフトしたケースはまだないと思う...。

2009/08/07

2009 Digital Marketer : Bechmark and Trend report

Experianから、「2009 Digital Marketer : Bechmark and Trend report」という資料が出ている。
  • Consumer Insight
  • E-mail Marketing
  • Search Marketing
  • Online Communities and social media
  • Mobile Marketing
  • The Future of digital advertising
  • Conclusion
と章建てされている中から、E-mail Marketingを見てみたい。

まず、Emailの開封率だ。季節要因(年末商戦時期は配信email数が多くなる)で1月が総合開封率19.43%、12月は16.37%とばらついている。ユニーク開封率は配信Emailに対する開封率で、総合開封率はユーザが複数開封した数も参入している。
次にCTRだ。12月を除くと総合CTRは5月から1ポイント以上下がっているが、ユニークCTRは0.5ポイント圏だろうか。それにしてもディスプレイ広告のCTRとは話にならない開きがある。
そしてTTC (Transaction-to-click) がある。開封率はCTRにかかわらず、TTCは2008年12月の場合、反応が高く5%もアップしている。

Source:Experian / 2009 Digital Marketer : Bechmark and Trend report

先月の「Testing in Email Marketing」でも書いたが、これだけのレスポンスを見せらてもテスト・検証しないマーケターがいるのは信じられない。

参考:Testing in Email Marketing (Online Ad 2009/07/30)

2009/08/06

Update of Kuroshio Sea

「Proposal to Visit Japan -1」、「Proposal to Churaumi Aquarium -1」で書いてきたKuroshio Sea - Second Larget Aquarium Tank in the Worldの露出、共有、再露出を総括して、Jon RawlinsonがTweetしていた。

参考:Proposal to Visit Japan -1 (Online Ad 2009/07/28)
参考:Proposal to Churaumi Aquarium -1 (Online Ad 2009/08/02)

それによると、
  • 550以上のBlog(Technorati Top100に入る5Blog含む)で取り上げられ
  • YouTube: 1,252,976回視聴、6,429評価、2,690コメント、16,651お気に入り
  • Vimeo: 647,000回視聴、3,650お気に入り、504コメント
  • Break: 604,393回視聴
Kuroshio Seaを取上げたメディア、Blogなど:
  • Businessweek:
  • Huffington Post:
  • Newteevee:
  • Canada.com
  • The Guardian:
  • Kottke.org(Technorati Top 100 Blog)
  • TorrentFreak(Technorati Top 100 Blog)
  • Sundance Channel
  • DailyDish(Technorati Top 100 Blog)
  • PDN
  • Planet5D
  • The Awesomer
  • Kontraband
  • Fubiz
  • Current.com
  • KanyeWest
  • 50Cent
  • Common
  • Netz-Schau(独TVのZDF)
  • Unhull
  • Trendsnow
  • DesignYouTrust
  • WebDesignerDepot
そして、様々な人々から送られたコメントが紹介され、最後にKuroshio Seaを取上げたBlogをリストアップしている。

Source:Twitter / jonrawlinson
Source:Jon Rawlinson

Jonが紹介しているコメントの中に次のものがある。

I sent the link to all of my friends - and we simply can’t stop watching it again and again and again.

Best regards from Cologne,
Sylvia

チェコやチュニジアからのコメントもあり、世界中のインターネットユーザが友人・知人にコンテンツを再露出している。それは同じ町、市、国のこともあれば、外国の友人・知人のこともある。YouTubeのStatistics & Dataを見ればバイラル化が世界に及んでいることがわかる。

お隣の韓国は日本より濃くなっていそうなので、沖縄の美ら海水族館を目指している観光客がたくさんいるのかもしれない。

せっかく、ここまで盛り上がってきた美ら海、Kuroshio Seaブームを活かさずにおくのは本当にもったいない。

2009/08/05

Digital C-Suite

Forbesから「The Rise of the Digital C-Suite」という資料が出ている。全米で売上高10億㌦以上の企業のトップエグゼクティブ354人を調査し、C-Suite(経営管理職およびトップ層)がどのようにビジネスに関連する情報を調査、入手しているかを調べたものだ。
  • C-Suiteの世代交代によりインターネット利用も変化
  • インターネットはC-Suiteの情報ソースのトップ
  • C-suiteは自分で情報を検索する
  • C-Suiteが使うのは主流の検索エンジン
  • ビデオおよびオンラインネットワークはC-Suiteのツールになりつつある
  • IT部門の管理職は情報収集にインターネットを最も使う
  • 40歳以下の管理職(NetScape世代)はソーシャルメディアツールを活用して最もエンゲージする
といったまとめがある。

まず、世代交代に関してだが、下の図は、50歳未満と、50歳以上のC-Suiteが
  1. ビジネス情報入手に利用するインターネットの頻度
  2. インターネットツール、サービス価値の5段階評価
  3. オンラインツールを利用する%
という比較がある。もう50歳未満と50歳以上ではひょっとすると人種が違うくらいの相違がある。50歳未満のC-Suiteは、PC、携帯、インターネット、iPod、その他のデジタルデバイスが何をするにしても大前提となっている、あるいはそれらがなくてはならない世代なのだ。
もうひとつ世代間で異なるインターネット行動がある。それは、「ビジネス情報を収集するために次をクリックしますか?」と聴かれて、
  1. 検索エンジンのリスティング広告
  2. バナー広告
  3. ポップアップ広告
  4. 他コンテンツへのリンク
  5. Blogエントリからのリンク
を50歳未満のC-Suiteは「しょっちゅうクリックする」と回答する比率が、41%から35%と、圧倒的に50歳以上よりも高い。
そして、IT管理職と非IT管理職を比較している。
  1. 毎日20回以上検索
  2. テキストよりもビデオからの情報収集・入手を優先する
  3. オンラインコミュニティの同僚から受けるアドバイスに価値を認める
  4. 仕事に関するBlogを毎日読む
  5. ビジネスおよびニュースコンテンツをRSSフィードを利用して毎日読む
  6. 仕事関連コンテンツを検索したり、それらを毎日モバイルWAPで読む
  7. 検索結果のリスティング広告をしょっちゅうクリックする
IT管理職は非IT管理職の少なくとも2倍、項目によっては4倍近くまで実行している。
最後にWeb 2.0利用に関して比較している。今回は40歳未満、40~49歳、50歳以上という3段階に分けての比較だ。
  1. 自分自身で仕事関連Blogを書いている。
  2. TwitterなどマイクロBloggingをやっている。
  3. ビジネスおよびニュースコンテンツをRSSフィードから入手している。
  4. モバイルWAPを使って、検索したり、コンテンツを読んでいる。
50歳以上のC-Suiteは見る影もない。50歳未満、40歳未満のC-SuiteがいかにWeb 2.0漬けになっているかが分かる。
Source:Forbes Insights / The Rise of the Digital C-suite

ビジネス誌を使ってC-Suiteに訴求しようというB2Bブランディングがある。しかし、もはやプリントのビジネス誌だけを使ってC-Suiteに訴求できる時代ではない。そして、売上高10億㌦を超える中堅企業以上のC-Suiteに40歳未満、50歳未満のC-Suiteが誕生している今日、彼らの日常行動を支えているのはオンラインであり、検索であり、ソーシャルメディアであることが明白だ。

現在、顕著になりつつあるC-Suiteの行動パターンに則したマーケティングが求められている。しかし、まだまだ今までのメディアプランにおまけとしてオンラインを加えているだけではないだろうか。

どうして頭を切り替えないのだろう。マインドセットをシフトしなければ、今の動きについてゆくことは困難だ。それにもかかわらず、なぜ、新しい動きを見ないのだろう。

それは、企業・ブランド側、そして代理店側の意思決定層が50歳以上だからだろうか?それとも、世界中のインターネットユーザを巻き込み、まったく新しいトレンドをいくつも誕生させてきたWeb 2.0という流れを理解できないからなのだろうか?

2009/08/04

HP Print Intelligently

HPのエンタープライズビジネスユニットが新しいキャンペーン、「HP Print Intelligently」を開始したとBtoB Onlineが伝えている。

Source:BtoB Online / HP rolls out enterprise campaign, offering guarantee

WSJやNYT、業界紙(サイト)へ広告を出稿しているとのことで、NYTimes.comのビジネスセクションをチェックするとリーダーボードが出ていた。
それをクリックするとキャンペーンのマイクロサイトへリンクされる。
(クリックでサイトへ)
Viacom、Schott、3M、Logica、AIBなど、エンタープライズユーザでのケーススタディが提供されている。Viacomの場合、プリンティング&コピー関連のコスト削減は20-25%、プリンティング関連のエネルギーは60%以上削減、コピー用紙削減は1,000万枚、プリンタ・コピー機・ファックス台数は50%削減という結果だ。
以前、Kodak Facebook StrategyでKodakの「Print & Prosper」キャンペーンを紹介した。これは昨年、インクジェットプリンターのインクに50億㌦も払った米国ユーザに対して「払い過ぎだよ」と警告し、競合として挙げられているEpson、Lexmark(Ricoh)、Canon、HP、Brotherの各社プリンタに、どれほど払い過ぎているかを計算するツールを用意していた。

このキャンペーンはインクに関してKodakの優位性を謳ったものだ。

参考:Kodak Facebook Strategy (Online Ad 2009/04/17)

それに比べるとHPのキャンペーンはエンタープライズ向けなので、HPがユーザ企業のニーズをアセスメントし、コスト削減を予想する。導入後12カ月以内に予想削減枠に到達しない場合、HPがその差額を補償するというものだ。上記のように単純なインクコストだけではなく、エネルギー、コピー用意、プリンタ台数など、関連するすべてのコスト削減を提案、補償するキャンペーンだ。また、エンタープライズユーザだけではなく、SMB向けにGartnerのMFPレポートを提供している。

そのGartnerのレポートに中堅および大企業向けMFPおよびプリンタメーカーの勢力図がある。トップを走っているXeroxをHP、Ricoh、Canonが後を追うという状況だ。Xeroxとの差を一気に詰めて追い抜くつもりなのだろう。
Source:HP / Read Gartner’s vision of the future. Cut costs today with HP.

コスト削減提案はどこでもやっているが、予想削減枠に届かない場合の補償まで謳うキャンペーンはそうざらにない。

2009/08/03

Proposal to Churaumi Aquarium -1

Proposal to Visit Japan -1で取上げた「Kuroshio Sea」が先週、ピークを迎えていた。

参考:Proposal to Visit Japan -1 (Online Ad 2009/07/28)

確か、7月30日は7位だったが、31日の朝、Viral Video ChartのTop 20バイラルビデオチャートの8位に「Kuroshio Sea」が顔を出していた。
Source:Viral Video Chart / Kuroshio Sea

Jon自身のTwitterによれば、Vimeo、Break、そしてYouTubeを合わせて視聴が230万回を超えたと書いている(8月1日)。

Source:Twitter / Jon Rawlinson

YouTubeによると、このビデオがトップを取ったカテゴリは12個。
  • 最多コメント(今月)-旅行&イベント-カナダ
  • 最多視聴(今月)-旅行&イベント-カナダ
  • 最多視聴(今月)-旅行&イベント-グローバル
  • 最多お気に入り(今月)-旅行&イベント-カナダ
  • 最多お気に入り(今月)-旅行&イベント-グローバル
  • 最多お気に入り(歴代)-旅行&イベント-カナダ
  • トップ評価(今月)-カナダ
  • トップ評価(今月)-旅行&イベント-カナダ
  • トップ評価(今月)-旅行&イベント-グローバル
  • トップ評価(歴代)-カナダ
  • トップ評価(歴代)-旅行&イベント-カナダ
  • トップ評価(歴代)-旅行&イベント-グローバル
注意:以下は7月31日時点のランキング。現在のものではない。
Honours for this video (24)
Source:YouTube / Kuroshio Sea

グローバルの旅行&イベントカテゴリで、歴代のトップ評価を受けたというのはすごいことだ。当然、美ら海水族館のWebサイトをAlexaで見ると、7月15日以降、確実にリーチが上がっている。(ビデオを見た日本人ユーザが大半かもしれないが)
Source:Alexa / kaiyouhaku.com

しかし、リーチが再び元のレベルへ落ち込むのを座視したり、YouTubeへアクセスする多数のユーザをそのまま見過ごすのは、いかにももったいない。

JonのTwitterに以下のTweetが上がっていたように独のTV局、ZDFでもビデオが取上げられている。
Source:Twitter / Jon Rawlinson

残念ながらエンベッドできないのでYouTubeでどうぞ。なお、彼の書き込みにあるように最初の4分程度は別のニュースになっているので独語が堪能な方以外は早送りでどうそ。Source:YouTube / Netz-Schau: Ulla Schmidt im Visier

ようやく各国のマスメディアが追いついてきているのだ。Webサイトのリーチが落ちかけてはいるが、レイトマジョリティにはまだまだこれから訴求する段階だ。

まず、Barcelonaのようにビデオレスポンスを返してはどうだろう?
Source:YouTube / Barcelona

レスポンスビデオから美ら海水族館のファン(サポーター、アドボケーター、インフルエンサー)を増やし、彼らの個人的なソーシャルメディアコネクションから、沖縄、美ら海水族館、海洋博公園といったコンテンツを発信してもらってはどうだろう?

Churaumi Aquariumというチャネルを作り、レスポンスビデオを置き、それに彼らのコンテンツをレスポンスとしてアップしてもらってもいい。

できれば総合的なソーシャルメディアマーケティング戦略を作成したうえで、Facebook、Twitter、MySpaceなどにもアカウントを作り、YouTubeにおけるビデオレスポンスを開始するべきだ。しかし、タイミングを逸するよりは、YouTubeのビデオレスポンスだけでも始めてはいかがですか?