2009/10/26

Southwest: Brand Royalty

San Francisco ChronicleのParentingというBlogを書いている記者、Peter Hartlaubは、例えばWest Virginiaへ出張する際、航空会社Aは直行便があり、Southwest Airlinesを使うと4回の乗り継ぎをしなければならないし、ひょっとしたホッケーの試合が終わったばかりで汗だらけの選手たちで満員の飛行機に乗らなければならないとしてもSouthwestを使うと書いている。

そのわけは、彼の4歳の男の子、Theoのバックパックを見つけてくれたからだ。

ことの始まりはUtahへ夏休みに出かけた際、Theoのバックパックをどこかに置き忘れてしまったことだ。Peterの伯父さんの誕生日に贈る50㌦の第二次世界大戦のドキュメンタリDVD、本とおもちゃが入っただけのバックパック。ただし、このバックパックは妻の友人からのプレゼントで男の子の名前が刺繍されている。飛行機の中なのか、空港なのか、それをどこで失くしたのかさえ分からない。

遺失物係に連絡した処で、回答があるとは誰も思わない。実際のところ、本当に調査してくれるのかさえ分からない。ま、電話だけはしてみるが、期待するほうがおかしいといったケースだ。

だから、旅行から二週間後にSouthwestのLouis Beginが電話をかけてきたのは、青天の霹靂以外の何物でもなかった。

さて、Louis Beginはどうやって彼の家まで辿り着いたかというと。まず、バックパックにあった本に残っていた書店の領収書から、本を買った女性、その女性が開いたタッパーウェアパーティのようなパーティ、そのパーティに参加した妻の名前、妻をパーティーに誘った参加者まで辿り着いたが、調査はここで一旦、途切れる(ここから先に進めなかったのは長い話があるようで彼のBlogでも「long story」とされている)。

それでもLouis Beginはあきらめずに調査を継続し、バックパックが見つかった搭乗機の情報からPeterの義理の母親の名前を見つけ出し、母親から娘の電話番号をゲットしたとのこと。

連絡から数時間後、小さなカードを添えてバックパックは持ち主に戻された。
We thought it was lost forever.If my knowledge of 20th century poets is right, the prose is by Maya Angelou.
Source:San Francisco Chronicle / Blog / My son's lost backpack, or why I'll be flying Southwest from now on

PeterはBlogの最初に、「大企業によいしょするような記事を書くのをためらった」。しかし、「書くことで予想される声などを考慮してもSouthwestの話を取上げることにした」と書いている。

そして、この心温まるエピソードを紹介した後に彼は次のように締めくくっている。
I've developed a fierce loyalty to businesses that are nice to my kids. I don't expect special treatment as a parent, but I greatly appreciate it and go out of my way to reward it.

I've always liked Southwest, mostly because it's a fairly low-maintenance airline, the people are friendly and they have an entire terminal at my airport of choice.
--中略--
Now I'll be going out of my way to fly with them, and telling other people to do the same.
ブランドがブランドレピュテーションやロイヤルティを作るのではなく、人々が作るものであること。ブランドを所有しているのはブランド自体ではなく、彼のような一般の消費者であることが明らかだ。

そして、彼のおかげでバックパックが戻ったTheoはもちろん、Peterや、その家族・親戚、友人、知人、PeterのBlogやTwitter読者にも伝わるのは、Southwestという企業・ブランドの価値と、それを支えるLouis Beginの人となりだ。

そして、このエピソードを伝えたMarketingProfs、1to1 Media、American Copywriterなどから米国ユーザはもちろん、果ては、まるで関係のない日本のBlogユーザにも伝わってゆく。

Source:MarketingProfs / Lesson Learned From a Backpack
Source:1to1 Media / Everyday Customer Champion
Source:American Copywriter / How a lost backpack found Southwest found lot more loyal customers

この話を心温まる良い話だとするだけなのか、それともこれをドリルダウンして例えば広告・広報コストとして試算してみるのか、あるいはBlog、Twitterセンチメントへの貢献を計測するのか、はたまた、ソーシャルメディアを使い顧客・ユーザにもっとブランドを語ってもらおうと計画するのか、いずれがベストだと考えますか?

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