2009/10/08

Facebook War Between Ryanair and SAS

Simpliflyingが、RyanairとSASが戦った「喚き合い」を紹介している。

それによると、
数週間前、RyanairはSASの役員、取締役にRyanairの北方100ルートのタダチケットを提供すると表明し、SASのDirector of Communication and EVPであるClaus Sonbergがオスロからロンドンへの便に搭乗した。その模様をFacebookやTwitterで報告した。
そうだ。

ありふれたRyanairのフライト体験報告だったはずのものが、Ryanairはそんなに安くないから始まり、物売りの機内放送はうるさい、コーヒーの不味さ、Ryanairのプレスリリースに載っているロンドンへの航空券価格は嘘だへ発展し、Ryanairの肩を持つユーザも会話に参加してFacebookやTwitterでメッセージやコメントが行き交い、ゴタゴタに輪をかけたようだ。
この「喚き合い」から学ぶべきこととして、SimpliflyingのShashank Nigamは、次の5点を挙げている。
  1. Integrate new media and old media
  2. Don't just talk. Listen, then respond
  3. Add insights from analytics for targeted responses
  4. Give power to the listener
  5. Don't just let the traditional PR team handle it
Source:Simpliflying / Five lessons in crises handling from the Facebook war between Ryanair and SAS Scandinavian Airlines

5番目に挙げられている「Don't just let the traditional PR team handle it」で以下のように解説されている。
伝統的なPRおよびコーポレート・コミュニケーション・チームはレガシーメディアの扱いはうまいが、ニューメディアに関してはそうでもない。もし、危機がソーシャルメディアで起こった場合、ソーシャルメディアのプロに手助けしてもらうことが基本だ。
ソーシャルメディア担当部門がない航空会社の場合、コーポレート・コミュニケーションが対応するべきだが、その場合でも、少なくとも一人や二人、ソーシャルメディアを熟知している人間に補完させるべきだ。
YouTubeにしても、FacebookやTwitterにしてもサービスが開始されてからある程度以上の期間が達ち、欧米企業は様々なマーケティング、広告、PRに本格的に導入し始めている。当然、新しいメディア、ソーシャルメディアでの危機管理もプログラム化されているはずだ。

しかし、実情はたった13%でしかない。
参考:Ford: Online Monitoring (Online Ad 2009/09/17)

だから、Simpliflyingが書くようにPRのソーシャルメディア対応は後れているのかもしれない。本当なのだろうか?

そこで、この解説に対して、PRの専門家からコメントをいただきたい。特に日本のグローバル企業・ブランドの海外向けPRを担当されている方々からのコメントをお待ちします。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

半導体企業(本社・日本)で広報を担当しています。海外売上げは4~5割程度です。
PRのソーシャルメディア対応は、ご存知の通り遅れています。我が社の内情を言えば、広報スタッフの中でソーシャルメディアについて熟知しているのは私一人です。海カー外事業所では積極的にTwitterなどを利用しようとしていますが、日本側でのリテラシー不足のため、うまく連携が取れていないのが現状です。
競合他社や大手メーの状況も、おおむね似たようなところだと感じています。マーケティングにおけるソーシャルメディアの意義は少しずつ浸透してきましたが、PRにおける意義は、ほとんど認知されてないと言えます。ましてや危機管理にソーシャルメディアが重要だ、という認識など…。

笠井孝誌 さんのコメント...

コメントをありがとうございます。

半導体ビジネスでもやはりそうですか。

ソーシャルメディアがもたらす変革、それこそ100年に一度といった大きな変革を日本本社が放置していると、企業・ブランド価値が下がり、ひいては売上にも反映するのではという危機感を持っています。これはマーケティング、広告、PR、そして全てのコミュニケーションに当てはまることだと思っています。

この点に関して、もし、コメントをいただけると幸いです。

匿名 さんのコメント...

ご返信が後れてしまいました。最新の記事「Social Media for PR」の内容にはまったく賛同いたします。

ご指摘の通り、最もクリティカルな問題は、ソーシャルメディアへの参入への遅れが、ブランド力の低下に繋がることだと思います。それは競合他社との比較で相対的に力が下がる、というだけではなく、「情報の窓口を開いていない」ことによる絶対的な評価の低下にも繋がってしまいます。

当社のスタッフもこうした問題は「話せば分かる」のですが、その説明をする時間自体が参入の遅れに繋がっています。海外の先進企業のように、ソーシャルメディア選任の部署・部隊を作らないと、意思決定と実行力の面で劣ってしまうと日々感じております。ソーシャルメディアへの本格的な取組みは、広報やカスタマーサポート部隊が「片手間」で行うには負担が大きすぎます。

そう考えると、まずは組織改正から、と言った気もいたします。道は遠いです…。

笠井孝誌 さんのコメント...

7月に紹介した「Social Media Engagement Report」によればSAPは35人、Starbucksは6人、Toyotaは3人(Twitterアカウントには4人いますが)の専属スタッフがいます。SAPはSCNがあるので特別ですが、他の企業にしても2~10数名以上のスタッフを抱え、VPクラスがヘッドを取っているはずです。

ということは仰るように組織改正が必要です。

P&GのGlobal Consumer and Market Knowledge部門のVP、Kim Dedekerは、「In 2009, P&G will ... focus on listening. Our goal is to reduce the amount spent on traditional research by half and to devote the remaining 60% to (online) "listening" research」と語っているとForrester Researchの資料にありました。彼女が率いるような部門がオンラインバズのモニタリングや分析をやっているのでしょうが、多分、外部企業の支援を受けてのことだと思います。
(毎日、数万件単位のバズを社内で処理するのは不可能だと思います)

とすると、組織改正に適切な外部支援を加えることでソーシャルメディアへの参加・対応にかかる負担を軽減できるような気がします。

ただし、適切な外部支援があればの話ですが...。