2009/05/07

Domino Pizza Lesson

まず、下のビデオを見て、「えーっ。とんでもない」と思わない人はいないだろう。特にDomino Pizzaの客は。

この上のビデオ(YouTubeのオリジナルは削除されている)がアップされた後、間髪をいれずDomino Pizza USAの社長、Patrick Doyleは謝罪し、ビデオに出た従業員を解雇したこと、そして対応策を発表したビデオをアップした。

通常、最初のビデオがもたらす緊急事態に企業がどのように対応するかというと、MSM (Main Stream Media)を使った公式の発表だ。「このようなことは事実ではありません。弊社は食品衛生法に則り…」といった内容を発表するだけだ。

4月13日にアップされたビデオは48時間以内に100万回視聴され、YouTube以外のサイトへもリポストされていき、タッチポイントはますます増えていくといった状況でMSM、あるいは予算をかけた打ち消し広告を出稿したところで何の効果もなかったろうし、そんなに時間をかけてはいられない。

なんとかしなければと頭を絞ったDomino Pizzaが取ったのは「目には目、歯には歯」の戦術だ。16日にYouTubeに社長のビデオを、最初のビデオを視聴した同じユーザスペースで企業からの公式ビデオとして公表したわけだ。

Source:San Francisco Chronicle / More Marketers are counting on social media

これと同じようなことは昔にもあった。劣悪な気象条件による運航停・休止に追い込まれたJetBlueのCEOが、YouTubeで迷惑をかけた乗客に謝罪したことがある。

参考:JetBlue: Our Promise to You (Online Ad 2007/03/08)

さて、Domino Pizza従業員のビデオがアップされた後、ビデオを見てもピザを頼もうというユーザは15%しかいなかった。社長のビデオがアップされた後、その比率は24%にまでアップした。社長が直々に謝罪したビデオの効果はある程度あったといえるだろう。

しかし、24%にしかアップしていないと見ると、一度落ちたブランドイメージは短期的な修復ではなく、MSMも使った長期的な修復作業、過程が必要だとも言える。

また、社長の謝罪ビデオがあったからこそ、ブランドイメージの急落を一定程度で抑えたということも言える。

どちらにしても、MSMとソーシャルメディアのいずれであろうと、片肺飛行ではもう立ち行かないということだ。ユーザがMSMとソーシャルメディアの両方でコンテンツを消費し、ソーシャルメディアスペースでコンテンツを作成し、共有し、拡散している時代に、MSMだけでコミュニケーションメッセージを配信しているとすると、それはもうレガシーマーケティングであり、レガシー広告であり、レガシーPRだ。

B2Cは無論のこと、B2Bメーカーも、YouTube、Facebook、Twitter、FriendFeed等など、様々なソーシャルメディアスペースに進出している意味を、今、注目を浴びているメディアだからとか、先走っているだけだとか、何の意味があるんだとか考えている方は、次のDomino Pizzaになった場合、ブランドイメージ回復にかかる時間はとてつもなく長期間にわたるだろう。

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