2008/12/03

New Influencer for PR

マーケターやPRのプロ達は、次から次へと生まれて来る新しいコミュニケーションチャネル、Blog、Podcasts、オンラインビデオ、SNSなどのソーシャルメディアツール・サービスの波に翻弄されている。従来からの既存メディアは情報の拡散に主要な位置を占めているが、そのメディア自体がオンラインの会話に大きく影響されている。「New Influencer」が、100年にもわたり存在してきたマーケティング手法、戦術、戦略などの効果をかく乱し、その存在を切り裂いてゆく。

マーケターはマーケティングメッセージのコントロールがユーザの手に移りつつある点に危惧しながらも、メディアの介在なしに直接、消費者・ユーザと会話が可能なことに期待をかけている。

そこで、どのように影響パターンが変化し、どのようにコミュニケーションのプロ達がその変化に対応するためソーシャルメディアを導入しているかを明らかにする調査を実施した。

ということで、Society for New Communications Researchが、「New Media, New Influencer & Implimentation for Public Relations」という資料を出している。

その中からいくつか拾ってみると、まず、少なくともひとつのキャンペーンで使ったことのあるオンラインツールのうち、Blogが80%近い高率で利用されている。そしてSNSも50%を超えている。調査対象者の57%は、多くの消費者やInfluencerが利用するソーシャルメディアがますます重要なツールになってきたと認識している。
その効果はというと、オンラインビデオに続いてBlogが2位、SNSが4位だ。バーチャルワールドが最下位ではあるが、否定的な判定ではない。既成メディアではない、ソーシャルメディアが確実に効果を上げている。
こういったソーシャルメディアツール・サービスを利用してマーケティング・PR活動効果を行う企業・ブランドがその影響を測定する指標として重要だと認識しているのは、「検索エンジンランキング」、「ヒット・ユニークユーザ数」が上位を占め、「ターゲットオーディエンスのプログラム認知」が3位となっている。通常であれば、ターゲット認知がトップに来るべきなのだが、認知効果を目に見える数字で補完しようということだろう。
次に「New Influencer」とコミュニケートする際の効果を測定する指標として最も重要なのは、当然ながら「キーとなるオーディエンスとの関係強化」、「(企業・ブランドの)評判向上」が上位となっている。
Source:Society for New Communications Research
Source:New Media, New Influencer & Implication for Public Relations (pdf)

「キーとなるオーディエンスとの関係強化」、「(企業・ブランドの)評判向上」といった面で、企業・ブランドのマーケター、PRのプロ達がソーシャルメディアを活用し始めている。ということで、このpdf資料には8本のケーススタディが添えられている。

その中で米国赤十字のケーススタディがある。下は赤十字のBlogだ(下をクリックでサイトへ)。
2005年のハリケーン、カテリーナがもたらした大災害は米赤十字にも影響を及ぼした。オンラインのソーシャルメディアスペースでは赤十字の対応に対して非難の声も上がっていた。そこでソーシャルメディアスペースの声をモニターし、オープンな双方向対話を促進するため新しいスタッフを採用した。続いて組織内のPRカルチャーを変革し、ソーシャルメディア対応を進めた赤十字は今、ソーシャルメディアマーケティング・PRが大きな力になりつつある。

すでにBlog、Flickr、YouTube、LinkedIn、Facebook、Twitter、Podcastなどに進出しており、Windows Live Messengerと提携した「I'm」キャンペーンなども進めている。

Source:American Red Cross / Social Media

従来からのマーケティング、PR、広告・宣伝スタッフだけで、現在の消費者・ユーザとコミュニケートすることは不可能だと言っていい。オンラインの会話をモニターしていない限り、悪口も良い噂も企業・ブランドの耳には聞こえてこない。ステークホルダーの声を拾えていないことになる。また、ソーシャルメディアスペースに存在していない限り、会話に参加することもできない。企業のマーケティング・PRカルチャーを変更することが必要だ。

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