2008/10/10

Online Reputation Management

9月7日、Florida Sun SentinelのWebサイトに、「United Airlinesが破産申請した」という2002年の記事へのリンクが「Popular Stories Business : Most Viewed」というセクションに掲載された。それをGooglebotが釣り上げ、Google Newsがその記事を取り上げ、それらをピックアップしたBloomberg経由でWall街へ伝わり、United Airlines株価が取引停止になる前に75%も下落してしまったという事件があった。

下はNYTimes.comの「A Stock-Killer Fueled by Algorithm After Algorithm」という記事に掲載されていた画像だ。左からSun SentinelのPopular Stories Business : Most Viewedセクション、Google News、そしてBloombergのターミナル画面だ。
Source:NYTimes.com / A Stock-Killer Fueled by Algorithm After Algorithm
Source:MarketWatch / Tribune Findings on United Airlines Story From December 2002
Source:United Airlines Statement

Sun Sentinelの親会社であるTribuneによれば、トラフィック量が原因だと言ってはいるが、昔の記事が突然、日曜日の朝のWebサイト画面に現れ、6年前の亡霊がインターネットをさ迷いだしたおかげで、インターネットの隅々に目を光らせているGoogleがその亡霊にスポットライトを浴びせ、株価が急落してしまったわけだ。

企業が提供するコンテンツ、ユーザ・顧客などが提供するコンテンツ、そしてメディアが提供するコンテンツなどインターネットに露出されるコンテンツ様々だ。企業・ブランドがコントロールできるコンテンツはその何割、あるいは何十分の一、何百分の一にしか過ぎないのかもしれない。クレーマーなどが理不尽に書き込むBlogエントリやコメントなどコントロールできないコンテンツによって、企業・ブランドにネガティブなイメージを与えることもある。が、今回のように企業・ブランドの価値(株価)を下落させることもあるわけだ。

今回のようなケースに対応するリスク管理をやっている企業・ブランドはいるのだろうか?

SearchViewのNoah Mallinがアドバイスしている。

United Airlinesは広報担当者からステートメントを発表させるなど既成のリスク管理対応をしたが、誤報のソースおよびそのプラットフォームであるインターネットに対しては何も対応していない。混乱した投資家はまずインターネットで最新情報を探るわけだが、ごちゃ混ぜになった情報が錯綜した状況で何が真で、何が誤なのか判断する時間がない。となると、投資家は損切を考えて株を売ることになる。

そこでステートメントのコンテンツだけに絞ったランディングページを用意し、「United bankruptcy」や「UAL bankrupt」といった検索キーワード広告を打つか、United Airlines(ランディングページ)のURLを下につけた「"United Airlines bankruptcy story false - see the truth"」といったスポンサー広告を出すだけで、混乱した投資家を正しい情報へ誘導することができる。

そして重要なのは、この作業はほんの数分でできるということだ。

Source:SearchViews / Online Reputation Management : United Misses Flight on SEC and Paid Search

以前、『「65万台のPS3が回収」というガセネタがDiggのトップを飾り、数百人がそれをクリックしてしまった』という話を紹介した。
参考:Fake News Story Games Thousands of Digg Users (Online Ad 2006/11/23)

現在、世界中を席巻する金融危機は、疑心暗鬼の塊となった投資家、企業、金融機関の動きで大きく揺れている。誤報、あるいはガセネタや対抗企業が流す悪意のある虚報などをコントロールするために必要な情報、知識、作業を準備しておくことは重要だろう。

なぜなら企業・ブランドがコントロールできるコンテンツ・情報は少なく、インターネットというメディアを消費、コントロールしているのは一般のユーザだからだ。

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