2008/07/10

Olympic Marketing : Lenovo

2月にIOCは、北京オリンピックで初めてBlogに関するガイドラインを公表していた。それまでも2004年のアテネ大会、2006年のトリノ大会で参加選手が勝手にBlogを書いていたが、それは非公式、非公認のBlogだったわけで、今回からIOCのお墨付きのついた選手Blogとなる。

ただし、当然ながら様々な制限がある。立ち入り制限エリア外での静止画、スポーツアクションのない会場内での個人的な写真はBlog掲載がOKだし、個人の自由な表現の範囲ならOKだ。しかし、ジャーナリズム的な形ではNGとなっている。加えて、名にしおう中国だからファイアウォールもそこかしこにできるかもしれない。

そして、Lenovoは30競技、25カ国から100人のアスリートをフィーチャーしたキャンペーン、「Voices of the Olympic Games」を始めるとMarketingVoxが伝えている。

Lenovoのオリンピックサイト:(クリックでサイトへ)
キャンペーンサイト:(クリックでサイトへ)
100人のアスリートはノートPCとカメラをもらい、彼(女)の個人Blogに様々な記事を書き込む。それらがキャンペーンサイトにRSSフィードされる。「Voices of the Olympic Games」へ行けば、アスリート100人が綴る30競技のBlogが読める。写 真はFlickrに供給され、del.icio.usも活用し、別途LenovoのBlog、そしてTwitterでも露出拡散を計画している。

Source:MarketingVox / IOC Gives Blogging Olympians the Conditional Go-Ahead
Source:MarketingVox / Lenovo Tackles Summer Olympic with Social Media Blitz
Source:2008.Lenovo.com
Source:Summergames.lenovo.com

オリンピック出場が今回で5回を数えるバハマ出身で女子走り幅跳びのJackie Edwardsも「Voices of the Olympic Games」キャンペーンに選ばれた一人だ。

個人の最高記録は96年の6.8mで、シドニーでは7位だった。しかし、今回は参加標準記録Bを超えているが最終選考会ではライバルに敗れた。ところが、そのライバル自身はB記録を超えていない。ライバルは追試大会でB記録を上回らなければならないし、そうなるとJackieは今の持ち記録を9cmも上回るA記録を出さなければ出場できない。と、彼女のBlogには、いろいろあってようやく正式にバハマのオリンピック参加選手として選出された話が綴られている。

金メダル確実な選手の声もいいが、より一般の人々に近い選手の体調、コンディション、競技内容や結果、そして彼らの声が聞こえてくる。
「Open Source Data and Analysis」で書いたように、2005年にIBMからPC部門を買収したLenovoはブランド確立に注力しているが、まだまだIBMの検索実績に及んでいない。トリノから公式スポンサーになっているLenovoが今回の北京オリンピックに力を入れているのは良く分かる。

参考:Open Source Data and Analysis (Online Ad 2008/07/03)

だからこそ従来からの露出に加え、今回ソーシャルメディアを活用するマーケティングを採用したことに納得が行く。

オリンピックは世界中が熱狂し、注目するスポーツイベントだが、今まではマスメディアを通した一方通行の情報提供しか行われていなかった。同じ映像の垂れ流しばかりだ。会場の観客が体験した生の感動を伝えるマスメディアはなかった。アテネ以来、個々の観客のWeb/Blogなどから流される情報も大きなうねりにはなっていなかった。

そこに各国の様々なスポーツファンやTV観戦者に対して、出場選手のBlogと、それを収集するサイトをテコに体験を共有してもらうソーシャルマーケティングを採用したわけだ。マスメディアであればどうやっても予算以下しか期待できない露出に比べ、ソーシャルメディアはうまく行けば予算の数倍に値する露出を拡大、拡散することができる。

Lenovoのマーケティングに大きな期待をかけたい。

ただし、他のワールドワイドスポンサー、各国ごとのオリンピックスポンサーも同じようなことを準備しているかもしれない。別に出場選手でなくても会場にいる観客から生の声を吸い上げるBlogアグリゲーターサイトを立ち上げればいいわけだ。個人Blogに競技の写真、動画を載せようと準備している万を超える観客がいる。彼ら、彼女らに協力してもらえばすむことだ。

マスメディアが取り上げないニッチ競技の詳細や、人気競技の舞台裏に近い情報を提供してくれる数多くの観客がいるだろう。彼らが取り上げる、書き込むBlog情報を収集するサイトを公開し、彼らの実体験を世界中の観客に共有してもらうことだ。機材提供や瞬間の記録機械としての公式スポンサーをアピールするだけではなく、世界最高のスポーツ競技会の一瞬、一瞬を伝え、感動を共有してもらうことができるチャネルを構築することができる。

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