2007/07/23

The Top 100 brands in social media

世界のトップ100ブランドを調査し、これらグローバルブランドの体制にどのようにソーシャルメディアが影響しているのかを明らかにする調査が英国のImmediate futureから出ている。

ソーシャルメディアとして定義されるのは以下の通り
  • Blog
  • 掲示板
  • フォーラム
  • ソーシャルネットワーク(MySpace、Facebook)
  • ビデオ共有サイト(YouTube)
  • 画像共有サイト(Photobucket)
  • Podcasts
  • Vidcasts
  • Wikis
  • グループ
  • バーチャルワールド(Second life)
ソーシャルメディアでの露出と、2006年のインターブランドトップ100を比べると大きな違いがある。インターブランド5位のIntelはソーシャルメディアでは22位、Toyotaは7位が22位だが、Canonは35位が5位となっている。また、ソーシャルメディアでの露出トップブランドのうち36%しかインターブランド25に顔を出していない。

ソーシャルメディアでの露出立ち上がりはアーリーアダプター層に因っている。このグループはテクノロジーに強く、情報や分析を共有する傾向が認められている。だからこそ、Google、Yahoo!、Apple、MSなどが上位を占めている。MS、Disney、BMWは両方のランキングで同様位置を占め、経済指標とソーシャルメディアでの消費者認知が整合していることを示している。ところが、Shell、Starbucks、そしてLGは
ソーシャルメディアでの消費者認知がインターブランドランキングを大きく上回っている。
次に各ブランドごとにソーシャルメディアでの露出詳細を見ていくと、各社の露出偏向が見えてくる。CanonとSamsungは、画像共有サイトとの関連を反映してFlickrでのブランド露出が多い。Disneyも撮った写真をテーマに会話が弾むことになるのでFlickr露出が多い。

Del.icio.usやMagnoliaなどのソーシャルブックマーキングサイトを独占しているのはテクノロジー系ブランドで、Blogサイト露出が最大なのはKraft、そしてReutersが続いている。Kraftは食品、従業員のコメント、そしてスポンサーシップまで幅広い露出があり、今年の「米国で最も信頼できるブランド」に選出されていることが興味深い。

最後にLGが目を惹く。インターブランドでは94位だがソーシャルメディア露出は25位だ。このところBlog社会で積極的にエンゲージメントを行ってきた効果が見える。

企業ランクのトップ10にはGoogle、Yahoo!、Apple、MS、Canon、Sony、Dellというテクノロジーブランド7社が入っている。これら企業は消費者との対話が持つ価値、ブランドの評判と対話との関連性、そしてブランドエクイティを理解しているといえる。彼らは素早く動き、消費者の声を聞き、迅速に対応している。
業界別に見るとテクノロジーが34%でリードしているが、FMCGが19%、車が15%で続いている。インターブランドは、FMCGに対して、「『何があなたにとってベストか?』という矛盾し、相反する意見を前にして消費者の要求に応えることはますます難しくなってきている」コメントを出している。だからこそ、オンラインでの会話をモニターすることで、FMCGは消費者意見やトレンドを拾い集めて、その中からデマンドを見出すことができるとしている。

ところで、テクノロジー系や車系にしたところで他社との差別化要素は無限にあるわけではない。OTC商品とまでは行かずとも、それに近いコモディティ感覚になりつつある製品、車種もある。このカテゴリでもオンラインの対話モニターを積極化させる必要は大きい。
次にオンラインでの会話がブランドとどのようにリンクされているかを見る。アドボケータ(主唱者)や中傷者を特定し、会話に登場するブランドの影響を評価するため、UKで最も人気のあるサイト、Flickr、Facebook、MySpaceで、ポジティブ、中立、ネガティブに分けて分析している。
トップ25ブランドの会話内容の登場パターンを見ると、Disneyが飛びぬけてポジティブな評価をもらっている。NintendoもWiiの成功で評価が高い。

テクノロジー系ではMSに対して厳しい評価が多い。また車系でもToyotaに対するネガティブ評価が実数、比率ともに高い。これは判官びいきの逆かとも見えるが、検索エンジンで一人勝ちのGoogleにはそういった評価はない。コンテンツのないブランドという意味ではeBayもそうだろうが、eBayはそこそこネガティブ会話が存在している。この点、Googleに絞った分析が欲しい。

LG、Kraft、Amazon、Reutersは全体での評価とは違い、今回の評価ベースとなっている特定ソーシャルネットワークではアクティブではないため会話そのものも少なくなっている。
さて、ここまで見てくるとインターブランドトップ100と、ソーシャルメディアでのブランド露出には大きな隔たりがあることが分かる。消費者、ユーザはブランドを取り上げた会話をしている。オンラインでの会話は全Webへ広がってゆく。情報、経験、噂が混在一体となった意見が、
マーケターのコントロール不能な領域でフィルターされず、要求もしないのに増加している。

ソーシャルメディアはその数だけではなく、影響力が拡大している。ソーシャルメディアでの露出をMSM (Main Stream Media) の記事・ニュースが追いかけている。ポジティブ、ネガティブ意見が検索結果で大半を占め、ソーシャルメディアでのブランド評価が購入意思にインパクトを与えている。DoubleClickの「Influencing the Influencers」、Hitwiseの「Consumer Generated Media Report」を見るまでもなく、消費者の購入意思決定に最も大きな影響力を持つのはWebであり、人の集まるのはソーシャルメディアサイトなのだ。

Agency.comの最近の調査によると、UKのインターネットユーザの8%(230万人)がアクティブにコンテンツをアップロードしている。この8%がブランドにとって極めて重要となる。彼らはインフルエンサーであり、単純に考えれば残りの92%(2,645万人)の購入意思決定に関与しているわけだ。このグループを特定し、ブランドが公正、平等、オープンな対話を通して、ブランドの主唱者を増やす努力が鍵となる。

ブランドはオンラインの会話に参加すべきだ。質問やトラブルに直接、答えることが必要だ。人的リソース、コストを考える前に、ネガティブコメントがオンライン上を駆け巡り、CEOのメールボックスから抗議メール、嘆願メールが溢れかえることを考えたほうがいい。ネガティブコメントを打ち消すコストを考えるだけでいい。CEOに届くビジネスパートナーからのメールが行方不明になる確率を考えるだけでいい。

Source:Immediate future / The Top 100 brands in social media
Source:Immediate future / Presentation on brands in social media
参考:
DoubleClick : Influencing the Influencers (Online Ad)
参考:Hitwise CGM Report
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参考:Wal-Marting Across America (Online Ad)
参考:Greenpeace Ranks Apple Last in Greenness
(Online Ad)

2つめのソースとして挙げているプレゼン資料はpdfではなく、スライドショーだが、非常に重要な資料だ。Immediate future自体がSony EuropeのPRエージェンシーであるためケーススタディとしてBRAVIAを取り上げており参考になる。是非、一度、アクセスされることをお薦めする。

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