2007/03/26

Next Generation Consoles

ScreenDigestが、「Next Generation Concoles:Games publishing, hardware analysis and forecasts to 2010」というレポートに関するEmailニュースを配信してきた。

このレポートは次世代ゲーム機のハード、ソフトの販売予想、ハードおよびソフト開発メーカーの将来性などを調査している。大手ソフトメーカーの調査によりサードパーティ側がどのハード向けのソフト開発を計画し、主要市場である米国でどれくらいの販売台数を稼げば損益分岐点を越えるか、またゲーム開発費が高騰する中、ハードメーカー側への影響などもカバーしているようだ。

それによると;
  • 2009年にソフトウェア販売はピークの139億㌦に達すると予想(図はScreen DigestからのEmailニュースより)
  • PS2がなし得た独占的なシェアは次世代機では繰り返されず、地域ごとの競合は一層激しさを増す
  • 高騰する開発コストの影響で、ハードメーカーがリリースするソフトの重要性が増し、サードパーティのソフトメーカーは、開発リスクを軽減する戦略を模索する
  • PS2用ゲームの販売はPS3発売後も継続し、主要市場で2008年末までは続くと予想
上のグラフを見ると、Xbox 360の販売予想額、シェアが前モデル時代よりも高くなっている。特に2007年にブレークするような予想だ。それに比べるとWiiのシェアは低く、PS3もPS2時代ほどではない。また、どのハード向けのソフトも2009年にピークを迎えると予想している。

さて、PS3が3月16日にUKで発売されたのをうけて、Hitwise UKが面白いデータを出している。それによるとPS3は先週、もっとも検索されたキーワードではあったが、検索の中身を見ると価格関連、価格比較関連が主で、また、Xbox360やWiiが発売された当時の検索実績よりも低い結果だったようだ。

UKでの「Playstation 3」という検索は過去4週間で14%増加しているそうだが、ようやくWiiの実績を上回った程度だ。また、US小売価格と比べて£120も高い、£425という価格から検索内容は、「cheap playstation 3」、「free ps3」、「cheap ps3」、「ps3 price in dubai」、「60g ps3 price in north america」といった検索キーワードが上位に入っている。Sonyは繰り返し、価格の値下げについて言及しているが、PS3がブレークするには小売価格が大きな障害になっているようだ。

また、「Xbox 360」の検索もシェアは0.0046%で、大きな動きは見られない。

また、Nielsen//NetRatingsが、ゲームコンソールのWebサイトへのトラフィックデータを出している。それによると、Nintendoサイトが2006年2月の85.6万ユニークオーディエンス(UA)から2007年2月には163.1万UAへと91%も増加している。Xboxサイトは同47%増を果たしているが、Playstationサイトは前年比8%減となっている。

米国で次世代ゲーム機の先陣を切ったXboxサイトが健闘し、最後発のNintendo(米国発売は2006/11/19)サイトが先頭を走る中、Playstation(同2006/11/17)サイトはPS2時代を上回るトラフィックを獲得できず、伸び悩みといった状況だ。

Source:Screen Digest / Next Generation Consoles
Source:Hitwise UK / PlayStation 3 UK Launch - Top Searched Console but Muted Enthusiasm
Source:Nielsen//NetRatings / News Release (Mar 13, 2007) (pdf)

こと、オンライン露出に関してPS3はUKでの発売開始を大きな転機とできていないように見えるし、米国でもWebサイトへのトラフィック増加にブレーキがかかっているようだ。また、XboxサイトへのトラフィックはPlaystationより健闘しているとは言っても、2007年のブレークを予感させるような力強いものではない。XboxとNintendoサイトへのトラフィックを見ると、Wii人気が上回っているように見える。

Screen Digestのレポートは、目次を見ると開発コスト、損益分岐点、ソフトメーカーの戦略、オンラインビジネスモデル、ソフト分析・評価などを取り上げている。レポート自体を見ていないので間違っているだろうが、どうもオンライン露出という視点が欠けているように思える。それによるソフト販売への影響が考慮されていないように見える。

オンライン露出と、それによるリンク、派生露出、オンラインのクチコミから実生活でのクチコミなど、以前よりも一層、オンライン露出は重要性を増している。マーケティングや調査、レポートはこの点を考慮する必要が非常にあると考えるのだが...。

3月22日のReutersによれば、Sonyは欧州での発売開始当初で100万台を予想しているが、アナリストは「供給サイドというよりは需要の関係で、50万~70 万台と見ている」としている。現在までの所、米国での販売台数はPS3が110万台、Xbox 360が220万台、Wiiが190万台だ。また、J.P.Morganのアナリストによると、PS3の将来にわたる累積販売台数は 6,000~6,500万台、Xboxが4,000~4,500万台、そしてWiiは1億台と予想している。

Source:Reuters /European blitz needs to kick PlayStation 3 in gear

Screen Digest、Reutersのどちらが正しいというわけではなく、筆者の独断、独りよがり的な解釈ではオンライン露出の多いWiiに軍配を上げたくなる。間違っている可能性も大いにあるが。

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