2006/12/05

Free Hug Campaign : Global Viral Effect

すでに「Free Hug」キャンペーンをご存知の方も多いだろう。

見知らぬ人々と、ただ、HUG(抱き合う)することで苦しみや、悲しみをいくらかでも和らげ、楽しさや幸せを分け与えてもらう、そしてその素晴らしさを他の人々にも伝えて行こうという運動だ。Technoratiによれば「Free Hug」に関するBlogは2,600以上、日本語の「Free Hug」に関するBlogは288もあり、Mixiメンバーが音頭をとった11月頭の新宿でのキャンペーンもあった。12月1日には朝日放送の「探偵ナイトスクープ」でも取り上げられたようだ。(Blog数は12月4日時点)

このビデオクリップは9月22日にYouTubeにアップされ、11月29日現在で;
  • 750万回以上視聴され(同じクリップが複数アップされているので合計は推定)
  • 26,905回すばらしいなどと評価され(最大視聴回数のクリップだけの評価数)
  • 14,062件のコメントがあり(最大視聴回数のクリップだけのコメント数)
  • 41,977回お気に入りに入れられ(最大視聴回数のクリップだけのお気に入り数)
  • 61,533本の関連ビデオがあり
  • 1位 お気に入りトップ(All Time、Entertainment、All)
  • 1位 お気に入りトップ(All Time、Entertainment、英語)
  • 2位 もっとも議論されたクリップ(All Time、Entertainment、All)
  • 2位 もっとも議論されたクリップ(All Time、Entertainment、英語)
  • 3位 もっとも議論されたクリップ(All Time、英語)
  • 3位 もっとも評価されたクリップ(All Time、Entertainment、英語)
  • など等
また、
  • YouTubeで「free hug」を検索すると関連ビデオが合計484本、韓国やスペインからアップされたクリップもある。韓国版は87万回以上視聴されている
  • Google Videoへ行くと約70本がアップされており、オリジナルビデオに加え、イタリア、オランダ、イスラエル、ポーランド、シンガポール、渋谷、韓国からもアップされ
  • Flickrへ行くと約880枚のFree Hug関連画像がアップされ
  • DailyMotion(フランス版のYouTube)では3本ビデオがアップ(約1万回視聴)され
  • Yahooの場合、GoogleVideoから供給されているビデオ37本がアップされている
FreeHugCampaign.org へ行くと、このキャンペーンの創設者Juan Mannと、その起源が分かる。

2ヶ月ちょっとの間に、オリジナルビデオだけで750万回を超える視聴回数をたたき出したこのビデオのすばらしい精神は、人々の琴線に触れ、触発された世界中の人々に広がったわけだ。

これを別の角度から見てみる。
  • インターネット
    • インターネットは既存メディアとは別格のグローバルメディアとして確立
    • 全世界のインターネットユーザ=10.76億人
    • 普及率=北米69.7%、欧州38.6%、アジア10.3%、オセアニア54.1%
    • Source:InternetWorldStats.com (11月27日時点)
  • YouTube
    • 世界最大の規模、アクセス数を誇るビデオ共有サイトとして確立
    • 6,341万:全世界からのユニークビジター数(米国は25%、1,608万)
    • 29.75億:全世界でのストリーミング数(米国は22%、6.49億)
    • Source:comScore / Press Release (Oct 11)
  • バイラル効果
    • 世界中にFree Hugキャンペーンが伝播
    • 豪、米など英語圏だけではなく、非英語圏の日本、韓国、欧州などへも波及
    • GoogleVideo、Flickr、DailyMotionなど他のオンラインメディアへも波及
    • 世界各国のBlogにも書き込み波及
インターネットが既存メディアとは別格のグローバルメディアとして確立し、YouTubeは世界最大のアクセスを獲得するビデオ共有サイトとして確立している。そのバイラル効果は英語圏のみならず、非英語圏へも波及し、そして、その波及は他のオンラインメディアへも波及している。

露出を稼ぎ、口コミにより波及していくこのバイラル効果を黙って見過ごす手はない。すでに、Diet CokeとMentos、An Inconvenient Truth (邦題:不都合な真実) 、Dove Evolutionなど、バイラル効果により大きな成果を挙げたキャンペーンが数多く報告されており、北米Nissanや米JVCなどは販促用にバイラルビデオを開始している。

単なる企業・製品ブランドの露出だけではなく、Cause Marketing (社会貢献型マーケティング) の典型であるDove Evolutionキャンペーンは、2月のSuper Bowlに出したTVCF時の3倍のトラフィックを獲得しているし、Ad Ageはパーソナル・ビューティ製品のカテゴリで今年最大の効果を挙げたバイラルビデオとしてこれを選んでいる。

ただし、Doveにしたところで米国をテリトリとしたキャンペーンだ。それにも関わらず、その影響は全世界に波及している。Technoratiによれば、「dove evolution」に関連するBlog書き込み数は全体で5,268、英語はその51%にあたる2,695だけだ。約半分が非英語による書き込みだ。(数字は12月4日時点)ここに米国企業が意図せずに、その効果が世界へ波及するグローバル効果がある。

インターネットはボーダレスのユビキタスネットワークとして人々の日常生活に一層関わってくる。米国企業の国内キャンペーンのグローバル効果により、米国企業は世界中の消費者、ステークホルダーに露出を蓄積していく。製品ブランドだけではなく、企業ブランドも世界中に浸透していく。この時代に、地域や国単位のブランドマーケティングは意味がない。本社によるグローバルなオンラインブランディンがなければ、米国企業とのブランド露出ギャップは解消できない。

今こそ、日本本社によるグローバルなオンラインブランディンを実施するときだ。

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